すべてを音に還す、
工房に受け継がれる循環の知恵。
南條⼯房では、素材一つひとつの命を無駄にせず、次へと活かしていく「循環するものづくり」を⼤切にしています。
鋳造後に砕いた鋳型は、細かく粉砕して粒度を丁寧にふるい分け、次の鋳型づくりの材料として再利⽤。
鋳型を練る際に使⽤する⽔も、⼯房に溜めた⾬⽔を活⽤しています。
また、おりんの切削加⼯時に出る⾦属の切り粉(削りカス)も、廃棄せず、次回の鋳造で再び溶かして材料として⽣まれ変わらせます。
このように、南條⼯房では細かく砕けない⼀部の鋳型のかけらを除き、ほとんど廃棄物を出さない仕組みが確⽴されています。
およそ築60年の工房は、「無駄を出さないこと」「限りある素材で、より良い⾳をつくること」を⽬指して設計されました。
物の少なかった時代に、知恵と⼯夫を重ねて築かれたこの⼯房は、今なおその思想を受け継ぎながら、静かに、確かに、⾳づくりの礎となっています。